法人税法23条や23条の2は、法人株主が受け取った配当金の益金不算入を定める規定です。
法人税法23条および23条の2に定める「益金不算入」規定は、その適用の仕方によって意図的に損失等を作出することが可能で、これを利用して租税回避行為が行われることがあります。また、これらの規定の存在自体により、納税者にその意図がなくとも、結果として損失が生じ、租税回避効果が発生する場合もあります。
よってこのような租税回避行為を防止するための規定が様々設けられています。今回は23条や23条の2に関連する租税回避行為を防止するための規定について解説します。
短期所有株式等
✔概要
ここの話は法人株主が配当を受ける場合に、法人税法23条による益金不算入規定を利用した損失の作出による租税回避行為を防止するという話です。
このように言われても「?」となるだけであると思うので、以下に設例を用いて解説します。
たとえば、A社は配当直前のB社株式を120万円で取得しました。そしてA社はB社から20万円の配当を受けました。その後A社は利益配当後で価格の下落したB社株式を100万円で譲渡しました。
これらA社の一連の取引を仕訳で表すと以下のようになります。
(B社株式取得時)
B社株式 120万円/現金預金 120万円
(利益配当時)
現金預金 20万円/受取配当金 20万円
(B社株式譲渡時)
現金預金 100万円 /B社株式 120万円
株式譲渡損 20万円/
上記の取引によって、A社には何らかの利益が生じたのでしょうか。A社の一連の取引を見ると、収益として「受取配当金20万円」が生じ、費用として「株式譲渡損20万円」が生じています。これらの収益・費用は相殺されてプラスマイナスゼロとなります。
つまり、A社は当該一連の取引から何ら利益も得ていないし、損もしていません。当該行為をしてもしなくても同じということです(これらの行為をした分だけ労力を要したという点で、これらの行為をしない方が得であったと言えるかもしれません)。
しかしこのような取引に23条の「受取配当金の益金不算入規定」が適用されたらどうでしょうか。
これが適用されると「受取配当金20万円は益金不算入で益金はゼロとなる」(全額益金不算入になるとする)一方で、「株式譲渡損20万円」は損金に計上されることになります。
つまり、本来であればA社のこのような取引に何の意味もないけれども、23条の規定が存在することで、「株式譲渡損20万円」という損失を作出することに成功し、20万円×法人税率(ex30%)=6万円の租税回避行為が行えていることになるのです。
当然にこのような行為は取り締まる必要があります。
✔上記のような租税回避行為を取り締まる規定(法人税法23条2項)
上記のような行為を取り締まる規定として、法人税法23条2項が規定されています。
法人税法23条2項
前項の規定(益金不算入の規定)は・・・元本である株式等をその配当等の額に係る基準日等・・・以前1月以内に取得し、かつ、当該株式等又は当該株式等と銘柄を同じくする株式等を当該基準日後2月以内に譲渡した場合・・・適用しない。
先ほどの例に則して23条2項を説明すると、「A社はB社株式をB社株式の配当基準日以前1月以内に取得し、かつ、B社株式を当該配当基準日以後2月以内に譲渡した場合には、23条1項の益金不算入規定は適用しない」ということです。
つまり、A社が法人税法23条1項の益金不算入規定を利用して意図的に譲渡損失を作出し、租税回避を図っているか否かについては、その判定基準として「配当基準日前1月以内に株式を取得し、かつ配当基準日後2月以内に当該株式を譲渡しているか」という要件を満たすかどうかにより判断するということです。
上記の例で言うと、もしもA社が23条2項の判定基準を満たしているなら、A社が取得した「受取配当金20万円」については23条1項の適用はなく、益金不算入は否定され、益金に算入されることになります。これにより「譲渡損失20万円」という損金と「受取配当金20万円」という益金が相殺され、「譲渡損失20万円」の作出という行為を防止できるのです。
自己株式として取得されることを予定して取得した株式
ここの話も先ほどの話と同じく、「23条による益金不算入規定を利用した損失の作出による租税回避行為を防止しよう」という話です。
ここの話は「みなし配当」と「公開買付」の話が絡むので、先にこれらの説明をした後に本題に移ります。
✔みなし配当
具体例を用いて説明します。
たとえばA社はB社に100万円の出資を行い、B社株式を取得しました。その後、B社はA社が保有するB社株式を120万円支払って取得しました(B社の自己株式の取得)。
この場合、A社はB社株式の譲渡対価として120万円を受け取っていますが、このうち100万円はB社株式の取得のために投下した資本の回収と言えるので、A社にとってこの100万円は所得ではありません。
しかし100万円を超える20万円部分は、B社株式の取得のために投下した資本の回収余剰に当たるので、A社にとってこの20万円は「所得」に当たります。
よってこの20万円部分につき、B社からの配当があったものとみなすのです。これが「みなし配当」の一例です。
そして当該「みなし配当」についても、法人税法23条1項の規定が適用され、原則として益金不算入の取扱いがなされます(法人税法24条1項)。
✔公開買付(TOB)
公開買付(TOB)は、上場企業の株式を市場外で一定期間・価格で不特定多数の株主から買い集める手法です。
株式会社においては、保有する株式の割合が大きくなるほど、行使できる権限が大きくなります。
たとえば、発行済株式の33%(3分の1)超を取得すれば、会社の重大な決定事項について拒否することができます。50%(2分の1)超を取得すれば、役員の選任を行うことができ、経営の実権を握ることができます。さらに、66%(3分の2)以上を取得すれば、会社の解散や合併といった重要な決定をすることが可能となります。
このように、株式の保有割合を増やすことで会社を支配することが可能です。そのため、ある企業が他社の経営支配権を獲得することを目的として株式を買い集める場合には、公開買付(買収目的のTOB)という手法が用いられることがあるのです。
また、この公開買付は自己株式を取得するために用いられることもあります。今回の話は、自己株式取得のための公開買付の話です。
✔自己株式として取得されることを予定して取得した株式
ここからが本題です。ここについても設例を用いて説明します。
たとえばB社は自己株式を取得するために100株を1億円で取得するという公開買付を公告しました。当該公開買付が実行される前にA社はB社株式100株を1億円で取得しました。そしてB社は公開買付を行い、A社に1億円支払ってB社株式100株(自己株式)を取得しました。
A社は当該買付により1億円を取得することになりますが、当該1億円のうち6000万円がみなし配当として扱われました。つまり、B社株式の譲渡対価として4000万円を受け取り、残りの6000万円はB社から配当を受け取ったと扱われるということです(法人税法61条の2第1項1号)。
これらA社による一連の取引を仕訳で表すと以下のようになります。
(B社株式取得時)
B社株式 1億円/現金預金 1億円
(公開買付時)
現金預金 4000万円 /B社株式 1億円
株式譲渡損 6000万円/
現金預金 6000万円/受取配当金 6000万円
上記取引によって、A社に何らかの利益が生じたのでしょうか。A社の一連の取引を見ると、収益として「受取配当金6000万円」が生じ、費用として「株式譲渡損6000万円」が生じています。これらの収益・費用は相殺されてプラスマイナスゼロとなります。
つまり、A社は当該一連の取引から何ら利益も得ていないし、損もしていません。当該行為をしてもしなくても同じということです(これらの行為をした分だけ労力を要したという点で、これらの行為をしない方が得であったと言えるかもしれません)。
しかしこのような取引に23条の「受取配当金の益金不算入規定」が適用されたらどうでしょうか。
これが適用されると「受取配当金6000万円は益金不算入で益金はゼロとなる」(全額益金不算入になるとする)一方で、「株式譲渡損6000万円」は損金に計上されることになります。
つまり、本来であればA社のこのような取引に何の意味もないけれども、23条の規定が存在することで、「株式譲渡損6000万円」という損失を作出することに成功し、6000万円×法人税率(ex30%)=1800万円の租税回避行為が行えていることになるのです。
当然にこのような行為は取り締まる必要があります。
✔上記のような租税回避行為を取り締まる規定(法人税法23条3項)
平成22年度改正により、「自己株式として取得されることを予定して取得した株式」に関するみなし配当については、益金不算入制度の適用がないことになりました(法人税法23条3項)。
つまり、これを上記の設例に当てはめると「B社株式を自己株式として取得されることを予定してA社が取得したB社株式に関するみなし配当6000万円については、益金不算入の適用がない」ということです。
先ほどの例の公開買付でA社は「株式譲渡損6000万円」と「受取配当金6000万円」を計上し、このうち「受取配当金6000万円」は23条の「受取配当金の益金不算入規定」が適用され、当該「受取配当金6000万円」は益金に算入されず、結果として「株式譲渡損6000万円」の損失の作出に成功し、租税回避行為を行なえてしまうのが問題ということでした。
このような取引につき「受取配当金6000万円」の23条(受取配当金の益金不算入規定)の適用を否認し、当該「受取配当金6000万円」を益金に算入させ、「株式譲渡損6000万円」の損失の作出をはばみ、租税回避行為を行わせないというのが、法人税法23条3項の規定です。
✔IBM事件(東京高判平成27年3月25日訴月61巻11号1995頁)
IBM事件のスキームは、自己株式取得を利用した人為的な損失の作出を行っていると考えられますが、当時は上記平成22年度改正前であり、23条3項による租税回避行為の否認をすることができませんでした。
外国子会社配当と外国子会社株式の譲渡を組み合わせた国際的租税回避
✔概要
日本の親会社が外国子会社から配当を受けた場合、その配当額の95%につき益金不算入とすることができます(法人税法23条の2)。
ここの話は、この「法人税法23条の2の益金不算入規定を利用した、損失の作出による租税回避行為を防止しよう」という話です。
以下、設例を用いて解説します。
たとえば日本の内国法人A社が、配当直前の外国企業B社の株式を10億円で取得し、当該外国企業B社の発行済株式の25%以上を取得するに至りました。これにより内国法人A社が当該外国子会社B社から受ける配当金につき、その95%を益金不算入とすることができます(法人税法23条の2)。
その後、内国法人A社は外国子会社B社から1億円の配当を受けました。この配当により、内国法人A社が保有する外国子会社B社の株式の時価は10億円から9億円に下落しました。
さらにその後、内国法人A社は保有する外国法人B社の株式を時価9億円で売却しました。
これら内国法人A社の取引を仕訳で表すと以下のようになります。
(外国企業B社の株式取得時)
B社株式 10億円/現金預金 10億円
(配当金受取時)
現金預金 1億円/受取配当金 1億円
(外国子会社B社株式売却時)
現金預金 9億円 /B社株式 10億円
株式譲渡損 1億円/
もしも法人税法23条の2(外国子会社配当金の益金不算入規定)の適用がない場合、上記の取引によってA社は何らかの利益が生じたのでしょうか。A社の一連の取引を見ると、収益として「受取配当金1億円」が生じ、費用として「株式譲渡損1億円」が生じています。これらの収益・費用は相殺されてプラスマイナスゼロとなります。
つまり、A社は当該一連の取引から何ら利益も得ていないし、損もしていません。当該行為をしてもしなくても同じということです(これらの行為をした分だけ労力を要したという点で、これらの行為をしない方が得であったと言えるかもしれません)。
しかしこのような取引に23条の2の「外国子会社配当金の益金不算入規定」が適用されたらどうでしょうか。
これが適用されると「受取配当金1億円は95%益金不算入で益金は500万円となる」一方で、「株式譲渡損1億円」は損金に計上されることになります。
つまり、本来であればA社のこのような取引に何の意味もないけれども、23条の2の規定が存在することで、「株式譲渡損1億円-受取配当金500万円=9500万円」の損失を作出することに成功し、「9500万円×法人税率(ex30%)=2850万円」の租税回避行為が行えていることになるのです。
当然にこのような行為は取り締まる必要があります。
✔上記のような租税回避行為を取り締まる規定(子会社株式簿価減額特例、いわゆるソフトバンク特例)
先ほどの例でA社は「株式譲渡損1億円」と「受取配当金1億円」を計上し、このうち「受取配当金1億円」は23条の2の「外国子会社配当金の益金不算入規定」が適用され、当該受取配当金1億円のうち、95%の9500万円は益金に算入されず、結果として「株式譲渡損1億円ー受取配当金500万円=9500万円」の損失の作出に成功し、租税回避行為を行なえてしまうのが問題ということでした。
そこで内国法人A社が保有する外国子会社B社株式の帳簿価額10億円から、外国子会社B社からの配当額1億円のうち、益金不算入とされた金額(1億円×95%=9500万円)を減額するという特例を設けました。これが子会社株式簿価減額特例、いわゆるソフトバンク特例です。
この特例を先ほどの取引時における仕訳に当てはめてみると
(外国企業B社の株式取得時)
B社株式 10億円/現金預金 10億円
(配当金受取時)
現金預金 1億円/受取配当金 1億円
(外国子会社B社株式売却時)
現金預金 9億円 /B社株式 9億500万円※
株式売却損 500万円/
※B社株式の取得価額10億円ー受取配当金1億円×95%=9億500万円
となります。
そうすると、「受取配当金1億円」については23条の2の規定の適用により、その95%の9500万円が益金不算入となります(残りの500万円が益金算入される)。他方、B社株式の簿価が9億500万円に減額されたことから、「株式譲渡損が500万円」となります。
そうすると益金算入される「受取配当金500万円」と損金算入される「株式譲渡損500万円」が相殺され、損失の作出を防止するという目的が達成されるのです。
✔上記租税回避行為が成り立たない場面
日本の内国法人が外国子会社の株式を25%以上保有していて、当該子会社から配当を受け、その後当該子会社株式を譲渡したときの全ての場面で、損失の作出による租税回避行為が行われているとは言えません。
たとえば日本の内国法人が外国子会社設立時から当該外国子会社株式を保有していたり、日本の内国法人が外国子会社株式を取得した後に当該外国子会社が事業で得た利益を配当する場合などは、損失の作出は不可能であり、租税回避行為が行われる心配はないので、これらの行為を取り締まる必要はありません。
ここでは、日本の内国法人が外国子会社設立時から当該外国子会社株式を保有していて、当該子会社から配当を受け、その後当該子会社株式を譲渡した場合を例にして説明します。
たとえば、内国法人A社は10億円の出資を行って外国子会社B社を設立し、B社株式の25%以上を取得しました。これにより、内国法人A社が外国子会社B社から配当を受けた場合、その配当額の95%につき、益金不算入とすることができます(法人税法23条の2)。
その後、外国子会社B社は内国法人A社に1億円の配当を行いました。当該配当時の内国法人A社が有するB社株式の時価は、設立時から配当時までB社が事業を行うことにより値上がりし(B社に利益配当ができる位に利益がB社に蓄積されているから、それを反映してB社株式の時価も上昇する)11億円になっていました。しかしA社に1億円配当することでA社が保有するB社株式の時価は11億円から10億円に値下がりしました。この10億円に値下がりしたタイミングでA社はB社株式を譲渡しました。
これらの一連の内国法人A社の取引を仕訳で表すと、以下のようになります。
(外国子会社B社設立時)
B社株式 10億円/現金預金 10億円
(配当金受取時)
現金預金 1億円/受取配当金 1億円
(外国子会社B社株式譲渡時)
現金預金 10億円/B社株式 10億円
内国法人A社は上記の一連の取引により、「受取配当金1億円」という収益を計上しますが、「株式譲渡損」は今回は計上されていません。これは「B社株式の取得価額10億円≦利益配当後のB社株式の時価10億円」となるためです。よって受取配当金1億円につき法人税法23条の2の適用により、その配当額の95%が益金不算入とされ、残りの500万円について益金算入されることになります。
つまり「外国子会社の株式取得前に当該外国子会社が獲得した利益が配当された場合は、損失の作出が可能である」けれども「外国子会社の株式取得後に当該外国子会社が獲得した利益が配当された場合は、損失の作出が不可能である」ので、そもそも後者の場合は租税回避行為への対策が不要なのです。
負債利子控除
✔概要
法人が株式を購入する場合、金融機関から資金を借り入れて、当該資金で株式を購入することがあります。
そして法人株主となる事で、配当金を受け取るのと同時に、借入先への利息の支払いをしていくことになります。
このような場合において、法人税法23条の「受取配当金の益金不算入規定」が存在することにより生じる法人株主の損失が不当な利益を生むことがあります。
この不当な利益を排除しようとするのが「負債利子控除」です。
以下、設例を用いて説明します。
たとえば甲社は1億円を借り入れて、乙社の発行済株式の1/3超を購入しました。その後、甲社は乙社から100万円の配当を受け取ると同時に、借入先に100万円の利息を支払いました。
当該甲社の取引を仕訳で表すと以下のようになります。
(借入時)
現金預金 1億円/借入金 1億円
(配当時)
現金預金 100万円/受取配当金 100万円
(利息支払時)
支払利息 100万円/現金預金 100万円
もしも甲社の取引に法人税法23条の適用がないとすると、甲社は収益として「受取配当金100万円」、費用として「支払利息100万円」を計上し、両者が益金・損金となる事でプラスマイナスゼロとなります。
しかし、甲社が受け取った「受取配当金100万円」につき、法人税法23条(受取配当金の益金不算入規定)が適用されて、全額益金不算入となると、「支払利息100万円」だけが損金算入され、結果的に100万円×法人税率(ex30%)=30万円租税回避が成立してしてしまっていることになります。
よってこの「支払利息100万円」が損金算入されないで、不当な利益が生じることを防ぐ必要があります。
その方法としては「支払利息100万円」を損金不算入とする方法が考えられますが、現行法はそのような方法を取らずに、「支払利息100万円」を損金算入させたまま、「受取利息100万円」につき、益金不算入規定の適用を否定して、益金に算入させることになります(法人税法23条1項)。
つまり「支払利息100万円」(損金算入)、「受取利息100万円(益金算入)」とすることで、両者が相殺され、「支払利息100万円」を損金不算入(+「受取利息100万円」(益金不算入))とする取扱いと同じ状態を作り出すということです。
✔適用対象となる株式等
現行法上、法人株主が保有する株式等は以下の4種類に分類されます。そして、それぞれの株式等の保有割合とその益金不算入額の計算方法は以下のとおりです。
完全子法人株式等・・・(保有割合)100% (益金不算入額)配当額の全額
関連法人株式等・・・(保有割合)1/3超、100%未満 (益金不算入額)配当額ー負債利子
その他の株式等・・・(保有割合)5%超、1/3以下 (益金不算入額)配当額×50%
被支配目的株式等・・・(保有割合)5%以下 (益金不算入額)配当額×20%
上記のように、法人株主の受取配当金の益金不算入額から負債利子が控除されるのは「関連法人株式等」に限定されます。
✔保有割合が1/3以下の株式等(その他株式等、被支配目的株式等)を保有する場合に益金不算入額から負債利子が控除されない理由
受取配当金の益金不算入の範囲は、課税ベースの拡大という要請によって徐々に狭められてきましたが、その負担を少しでも軽減するために、これらの株式等については益金不算入額から負債利子を控除しない措置を取っていると思われます。
✔完全子法人株式等を保有する場合に益金不算入額から負債利子が控除されない理由
完全子法人株式等に係る配当等については、平成22年度改正によって、負債利子控除が廃止されました。よって資金を借り入れて、その資金で完全子法人株式等を取得しても当該株式等に係る配当等については全額益金不算入となります(法人税法23条5項)。
負債利子控除廃止の理由として「グループ内の資金調達に対する中立性を確保する観点や、完全支配関係にある法人からの配当は間接的に行われる事業からの資金移転と考えられること」と説明されています(平成22年度税制改正の解説(財務省HP)231頁)。
つまり、完全子会社から完全親会社への配当は1つのグループ内部における単なる資金移動にすぎず、その実質は本店と支店の間の資金移動と同じであり、したがって完全子会社から完全親会社への配当について全額益金不算入を認めず、負債利子控除を行うと、その資金移動自体に課税が及ぶことになってしまい、資金移動の中立性が損なわれると同時に、本支店間の資金移動との間にも不公平が生じることになってしまう、ということです。
✔「負債利子」の計算方法
関連法人株式等を保有する場合に益金不算入額から控除される「負債利子」は、当該関連法人株式等を取得するための借入金の利子ではなく、以下の2つの計算方法で求めた金額のうち、いずれか少ない金額を「負債利子」として控除します。
次の金額のうちいずれか少ない金額
関連法人株式等に係る配当等の額×4%
その事業年度の支払負債利子×10%

