法人税における期末時価評価

法人税法22条2項を見ると、益金が生じるのは「資産を譲渡した時」となっています。

つまり法人税法は、資産を譲渡した時にキャピタルゲイン(資産の含み益)に課税するという「実現主義」を採用していることが分かります。

資産を保有し続ける状態で生じている未実現のキャピタルゲイン(含み益)には原則課税しません。

このように法人税法は「実現主義」を採用していますが、例外的に時価評価を行って、未実現のキャピタルゲインに課税することがあります。

今回は法人税法に例外的に規定されている「時価評価」について簡単に解説します。

売買目的有価証券、短期売買商品

実現主義の例外として、売買目的有価証券は期末に時価評価されて、その評価益・評価損は益金または損金に算入されます(法人税法61条の3第1項・2項)。そして翌事業年度において評価益・評価損は損金または益金に算入するかたちで調整されます(法人税法61条の3第4項、法人税法施行令119条の15)。

また、短期売買商品(短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した資産)についても期末に時価評価され、その評価益・評価損は益金または損金に算入されます(法人税法61条2項・3項)。そして翌事業年度に当該評価益・評価損は損金又は益金に算入するかたちで調整されます(法人税法施行令18条の9)。

これらの資産は、市場を通じていつでも現金化できるので、時価評価を行っても納税資金の問題はそれだけ少ないと言えます。

暗号資産

法人が事業年度末に有する暗号資産のうち、活発な市場が存在するものは時価評価され(法人税法61条2項、法人税法施行令118条の7)、その評価益または評価損は当該事業年度の益金または損金に算入されます(法人税法61条3項)。

また、法人が暗号資産の信用取引を行なった場合において、事業年度終了の時に決済されていないものがあるときは、その時においてその信用取引を決済したものとみなして算出した利益の額または損失の額を、当該事業年度の益金または損金に算入します(法人税法61条8項)。

そして令和5年度税制大綱において、法人が保有する暗号資産のうち、自己が発行した暗号資産でその発行の時から継続して保有しているものは時価評価の対象から外されました。これは、スタートアップ企業等が事業活動の一環として自己が発行した暗号資産を保有する場合において、未実現の評価益に対して課税が行われることが、資金繰りや事業継続の観点から過度な負担となるためであると思われます。

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