法人の資金調達方法(借入による資金調達と株式発行による資金調達)

法人が資金調達を行う方法は大きく分けて2つあります。

一つは借入による資金調達(負債)であり、もう一つは株式発行による資金調達です。

いずれによる資金調達が法人にとって望ましいのかは、ケースバイケースです。

今回はこれらの資金調達方法の特徴や、その特徴によって法人がいずれの資金調達方法を選択する傾向にあるのかを解説します。

それぞれの資金調達方法の特徴と資金調達方法の選択

それぞれの資金調達方法の特徴

借入による資金調達方法と、株式発行による資金調達方法を比較する形でその特徴を解説します。

借入による資金調達方法

①支払利息を損金算入できる
②債務の返済日及び利息の支払日が確定している
③返済不能による倒産リスクがある
④情報の非対称性(債権者よりも経営者の方が会社についての情報を多く持っている)の影響が
弱い

株式発行による資金調達方法

①配当は資本等取引なので、損金算入できない
②配当の支払いは未確定であり、実行されないこともある
③株式による資金調達は返済不要なので、返済不能という概念がない
④情報の非対称性(株主よりも経営者の方が会社についての情報を多く持っている)の影響が強い

このようにそれぞれの資金調達方法には以上のような特徴があります。

資金調達方法の選択

それぞれの資金調達方法にはそれぞれの特徴があります。このような特徴の違いがあるため、経営者はある場面では「借入による資金調達」を好み、またある場面では「株式発行による資金調達」を好みます。

資金調達方法の選択その1・・・法人は当初は借入による資金調達を好むが、途中で株式発行による資金調達にシフトする傾向にある

法人は一般的には、最初は借入による資金調達を好みます。なぜなら借入金の支払利息を損金算入できるからです。

しかし借入の場合は期日における支払利息と元本の返済が必要であり、負債の割合が増えるとこれらの支払不能による倒産のリスクを考えるようになります。

よって一定のところで、借入から株式発行による資金調達にシフトすることになります。この考え方は「倒産可能性を理由としたトレード・オフ理論」と呼ばれています。

資金調達方法の選択その2・・・情報の非対称性に基づく資金調達方法の選択

経営者と株主の間に情報の非対称性(経営者の方が会社の内部事情を株主より詳しく知っていること)がある場合、経営者が株式発行で調達した資金を株主の利益ではなく自分の利益のために使っても、株主がその事実を知ることは容易ではありません。こうした点から見ると、株式発行による資金調達は経営者に有利に働くため、経営者は借入よりも株式発行による資金調達を好む傾向にあります。

しかし、このように経営者と投資家の間に情報の非対称性がある場合、経営者が株式を発行して資金調達を行なおうとしても、投資家は「もしかしたら出資したお金は経営者の利益のために使われて、我々投資家の利益を犠牲にするのではないか?」という疑心暗鬼に陥ります。

そのような情報の非対称性に基づく投資家の疑心暗鬼があるため、株式発行による資金調達コストが嵩んでしまうことがあります。この考え方によれば、経営者にとって株式発行よりも借入の方が資金調達しやすいことになります。

資金調達方法の選択その3・・・借入は利息の支払いと元本の返済に迫られるが、株式発行による資金調達にはそれがない

借入は期日になると利息の支払いと元本の返済に迫られます。これは経営者にとってプレッシャーになると思われます。

しかし、株式発行による資金調達であるなら、会社の業績が悪ければ配当を行う必要はないし、元本の返済も基本的に不要であり、経営者は上記のプレッシャーから解放されます。

その意味で経営者は株式発行による資金調達を好むと思われます。

型にはまった望ましい資金調達方法は存在しない

資金調達は借入や株式発行だけでなく、事業で得た利益を社内に留保することでも行えます。しかもこの資金調達は利息の支払いや配当も不要です。

当該方法も絡めて、法人の資金調達方法を考えるとその幅が広がりそうです。

そしてどのような資金調達方法が望ましいのかは、経営者の価値観や性格、企業が置かれている立場で変化するため、これという型にはまった望ましい資金調達方法は存在しません。それぞれの場面で一番適した資金調達方法を模索していかなければなりません。

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