個人支出の所得税法上の取扱いと法人支出の法人税法上の取扱いの違いについて

個人事業主が何らかの支出をした場合、当該個人事業主の資産が減少します。

また法人が何らかの支出をした場合も、同じように当該法人の資産が減少します。

そして個人事業主が何らかの支出をした場合は所得税法が、法人が何らかの支出をした場合は法人税法が、これらの支出に係る条文を規定しています。

今回は「個人支出の所得税法上の取扱いと法人支出の法人税法上の取扱いの違い」について解説します。

個人支出の所得税法上の取扱い

個人事業主は「生身の人間」です。

「生身の人間」は法人と違って「消費」することができます。

つまり、個人事業主が何らかの支出をした場合、その理由は個人としての「消費」と、事業活動を通じて収入を得るための支出(必要経費)に分けられます。

このことを前提に所得税法は、個人事業主が何らかの支出をした場合に以下のように規定しています。

個人事業主が支出をした場合の所得税法の規定

原則・・・個人事業主が支出した場合、原則として「消費」とする(所得税法上、条文を設けていない)
例外・・・個人事業主が支出をした場合で、それが事業を通じて収入を得るための支出であるなら「必要経費」とする(所得税法上、条文を設けている)

つまり所得税法上、個人支出のうち個人消費については原則として条文が設けられておらず、個人支出のうち事業を通じて収入を得るための支出であるなら「必要経費」にあたるとして条文が設けられています(不動産所得(所得税法26条2項)、事業所得(所得税法27条2項)、山林所得(所得税法32条3項)、雑所得(所得税法35条2項2号))。

法人支出の法人税法上の取扱い

法人は個人と違い「生身の人間」ではありません。

よって法人は「消費」することができません。

つまり、法人が何らかの支出をした場合、その理由は「消費」ではありえず、通常は事業活動を通じた収入を得るための支出(経費)と考えられます。

ただし、法人は個人事業主と違い、資本等取引(株主法人間取引)というものがあります。

このことを前提に法人税法は、法人支出につき以下のように規定しています。

法人支出をした場合の法人税法の規定

原則・・・法人支出があれば、原則として「経費(損金)」とする

例外・・・法人支出が資本等取引に基づく支出(払戻、配当、残余財産の分配)であれば、「経費(損金)」としない

つまり法人税法上、法人支出があった場合、原則として当該支出は「原価・費用・損失」となり損金として控除できることになります(法人税法22条3項)。

ただし法人支出が資本等取引(株主法人間取引、法人税法22条5項)に基づく支出(払戻、配当、残余財産の分配)であれば、「経費(損金)」として控除できません。

以上のように「個人支出は原則『消費』、例外『経費』」として所得税法上扱われ、「法人支出は原則『経費』、例外『資本等取引に基づく支出』」として法人税法上扱われることになります。

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